こんにちは、現役介護士のさかもと ままる@mamaru0911です。
僕は43歳「無資格・未経験」で異業種から、介護福祉・医療の業界に転職して来ました。
現在は介護業界で今最も勢いのある介護派遣会社であり、トップクラスの高単価案件を豊富に持つ、コンプライアンスもしっかりとした優良派遣会社きらケアで「夜勤専従介護士」として、またカイゴジョブで紹介してもらった「日勤パート介護士」としてWワークをしています。
現在は介護職だけで、月収40万円以上稼いでいます。
※僕が未経験で登録した介護派遣会社はベネッセMCMでしたが、現在ではきらケアに介護派遣会社を変更しています。僕が介護派遣会社を移った理由に関してはこちらの記事を読んでみて下さい。
https://www.kaigoshibaby.com/entry/goodbye-mcm
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(ここから過去記事↓)
山口県周防大島町で行方不明になっていた二歳児、藤本理稀ちゃん(2)を発見した尾畠春夫さん(78)は、多くのメディアで「スーパーボランティア」「超人高齢者」として賞賛されています。
尾畠さんはこれまでも東日本大震災や熊本地震、西日本豪雨など数々の被災地に「ボランティア」として参加し、尽力してきた実績と経験を持つ方です。
今回の「理稀ちゃん発見」で大きな脚光を浴びている尾畠さんですが、世間の声は
「ボランティアとして尽力している姿に尊敬する」
「自分もあんな高齢者になりたい」
など78歳の尾畠さんに対して賞賛する声が止みません。
僕自身も当然尾畠さんに対するそういった気持ちも大きいです。
しかし現役介護士である僕からすると、この78歳である尾畠春夫さんの「生き方」自体が、今後「超超高齢化社会」を迎える日本と言う国に取って、非常に重要なものであると感じました。
尾畠さんの活動や生き方に対して「凄い!」「素晴らしい!」「感動した!」という感想だけでなく「彼の生き方自体の価値を今後の日本の為に生かすべきだ」という目線の意見はネット上でもほとんど見かけませんので、今回は僕が書いてみようと思います。
尾畠春夫さんとは
すでに多くのメディアで取り上げられているので、詳細は省きますが尾畠春夫さんは現在78歳の「高齢者」です。
尾畠さんは65歳の時まで自営で鮮魚店を経営されていた「元魚屋さん」なんですね。
現役時代から始めた「登山」を趣味としていて、登山道の整備やベンチの補修を「ボランティア」で始めたのが、現在の「スーパーボランティア」の原点とも言われています。
多くのメディアで映し出される筋肉たくましい尾畠さんの外見は、長年の力仕事や山登りという「継続した」運動によって培われているのは間違いないことだと思います。
重ねて書きますが、尾畠さんは年齢だけ見ると立派な「高齢者」なんです。
しかし多くのメディアで映し出される彼を見て、どれほどの人が「高齢者」「おじいちゃん」という印象を持つでしょうか?
高齢者たちが生きていく理由
僕は現役の介護士として、数々の介護現場で仕事をして来ました。
そこで出会う高齢者たちのほとんどは、自立した生活が困難な「要介護」の人々です。
人は誰でも歳を取ります。
この記事を読んでいるあなたも、そして僕も決して例外ではありません。
僕は実際に「介護」の仕事に就いて、感じる事や考える事がとても多いです。
もちろん世間の高齢者全てが、僕が日々接しているような「要介護」の人々ではありません。しかし高齢になれば誰でも筋力の低下や複数の疾病に悩まされるのが普通です。
そんな高齢者たちの日常に大きく欠けているものは「生き甲斐」です。
人が生きていく理由
非常に大きな命題ですが、僕自身は「人が生きていく理由」として大きく二つの理由があると考えています。
- 自分の役割の為に生きる
- 自分の自己実現の為に生きる
人によってはその二つが合わさっていることもあると思います。
多くの高齢者は、退職という時間的な期限のおかげで「仕事」「社会」との関わりを終え、社会的な「役割」を失います。
さらに子供の成長や自立によって、親としての「役割」も無くなります。
大抵の仕事人であれば、仕事における成果や結果を「自己実現」のひとつと考えていた人も多いでしょう。単純に「年収」や「役職」を自己実現の指標にして来た人も多いと思います。
高齢者になり、社会との関わりが途絶えると多くの高齢者は自分の「役割」「自己実現」が困難になり、「生きていく理由」を見失う人も少なくありません。
「仕事」というものは、その集団や組織に従事するだけで「受動的」に社会と関わる事になります。しかしその「仕事」が無くなってしまうと「能動的」に社会との関わりを持たなくては、高齢者が「生き甲斐」を得る事は難しくなるのが現実なのです。
高齢者こそボランティアをすべき理由
東日本大震災を始め、近年の日本では多くの災害や事故が相次いでいます。
その度に「災害ボランティア」という言葉が報道され、最近ではかなり根付いて来た感じもします。災害が起こる度に
「自分もボランティアに参加しようか」
と思った事がある人も多いと思います。
しかし多くの社会人には日常こなさなければいけない「仕事」があり、ボランティアの為に自分の仕事を休んで出掛ける事が出来る人は限られていることでしょう。
そこで注目したいのが、尾畠さんのような「高齢者」ボランティアです。
定年退職後の「高齢者」であれば、仕事の心配は無いと思いますし、現役で働いている人に比べれば災害地に駆けつけられる条件は整っていると言えます。
被災地にとっては「人手」は重要なリソースの一つですし、地域の復興には欠かせないものです。
さらに「高齢者ボランティア」には、ボランティアを行う高齢者にとっても良い影響を多くもたらすものだと考えられます。
日本を救うのは自立高齢者だ
僕が介護福祉・医療の業界に転職して二年ほど経ちます。
その中で感じる事の一つが「世間の高齢者への興味の無さ」です。
世間の多くの人にとって高齢者介護に関しては、身内の人や身近な人が要介護状態になったり、僕のように介護業界に転職でもしない限り
他人事
なんです。
2025年全国で認知症患者は700万人を突破する。
2025年全国で介護士が38万人不足する。
2020年以降、毎年150万人以上の人が亡くなっていく国、そんな国は歴史上存在したことがありません。
「他人事」と目を背けて来た日本の「高齢化問題」はもうすぐ
目を背けられない現実
に直面していきます。
すでに日本の介護業界はその圧倒的な「人手不足」によって崩壊の危機にさらされています。医療費と介護保険費はその増え続ける高齢者の圧倒的な数によって、年々大きく膨らんでいます。
そんな日本にとって唯一の救いの道は
自立高齢者を増やす
一点につきます。
要介護にならない、自立した高齢者が増えれば社会保障費の削減にもなりますし、なにより幸せな老後を送る高齢者が増えれば、それだけで「豊かな国」になると僕は信じています。
人は一晩で大きく歳を取る訳ではありません。
一日一日、じわじわとそして確実に高齢者に近づき、その先に「死」をむかえます。
それ故に高齢化を「他人事」と感じていた人は、なおさら自分の「老い」を感じ取る事が出来なくなります。
一般的に多くの高齢者はまず全身の筋肉が弱まり、歩行や日常動作に支障をきたす様になります。次いで入浴がひとりでは出来なくなり、排泄が出来なくなり、遂には食事も自力で接種出来なくなります。
高齢に伴って認知機能の低下が見られる人も少なくありません。
「高齢になれば当たり前の話だ」
と高齢者や介護の知識が乏しい人は言うかも知れませんが、この高齢者になると起こりえるいわゆる「老化」も生活の仕方や考え方の違いで回避出来る可能性が違って来るのも事実なのです。
前記した尾畠春夫さんは、ボランティアとして社会に関わり「自分の役割を持つ」こと、地域の人の役に立つ事で「自己実現すること」などを継続する事によって、日常生活を送る為の筋力の維持はもちろん、認知機能の低下を抑止することを可能としています。
自立して充実した人生を送る
という高齢者の見本となる様な生き方をしているのです。
極論ですが、日本の高齢者の全てが尾畠さんのような生き方をしていけば、世界ナンバーワンの高齢化率を誇る日本が、生き抜ける可能性が出て来ると思うのは僕だけでは無いはずです。
まとめ
高齢者は「役割」を持つべき
世間は高齢者に関してもっと理解するべき
日本という国は、本当に「高齢者」に対して考えが及んでいない国だと僕は常に思います。
「どこの学校に行こうか?」「どこの会社に就職しようか?」などと「自分の生き方」はよく考えるくせに「自分の死に方」を考えることはしない人が多くないですか?
介護や医療、高齢者について考えたり知識を得たりすることは「自分の人生の生き方」つまり「自分の死に方」を考えることに絶対に必要な事だと僕は思います。
「自分の死に方」について正確な知見が無い人が、行き当たりばったりの老後を送って幸せな人生を歩めるとは到底思えません。
この本は僕が働いていた有料老人ホームに「訪問診療」を行っていた大蔵暢先生の著書です。
大蔵暢先生は、日本では数少ないアメリカの「老年内科」の専門医の有資格者で、日本ではあの聖路加病院で日野原重明先生にも従事された老年医療界のスーパースターです。
この本は僕の様な介護職従事者だけでなく、一般の人にも「介護」「高齢者」を理解する上で是非読んで頂きたい一冊です。
大蔵先生は高齢者の数々の疾病を、それぞれを独立した「病気」と捉えるだけでなく「老年症候群」という包括的な視点を持つ、という独自の考え方をこの書で展開しています。
実際に介護現場で高齢者と接している僕は、この本を読んで目からウロコの状態でした。
こういった情報を現在「介護や高齢者に関係ない人」が読む事によって、自身の老後や今後の日本のあり方に生かして欲しいと思うのが僕の考えです。
報道によると「スーパーボランティア」の尾畠春夫さんは、自身の年金を切り詰めて全国各地のボランティアに駆けつけているそうです。
尾畠さんが得ている年金額は、月におよそ5万円。
長年にわたり自営業を行っていた尾畠さんは国民年金に加入していたのだと思います。
なぜ自営業や個人事業主の国民年金とサラリーマンの加入する厚生年金とでは、支給額にこれほど差があるのでしょうか?(もちろん厚生年金は半分事業主が支払っていますが)
20年近く事業主として生きて来た僕にとって、この年金のシステムはどう考えても納得出来ません。
尾畠さんのように「世のため人の為」に生きている人に対して、日本と言う国は何も出来ない。
もちろん尾畠さん自身は、お金のことなど考えていないでしょうが、こういった問題一つとってもこれから世界ナンバーワンの「老人の国」になる日本は考えなくてはいけないのではないでしょうか?
「スーパーボランティア」尾畠春夫さん(78)の活躍には、多くの共感と感動が生まれたはずです。
しかしそれを「凄い!」「素晴らしい!」だけでなく、もっと深堀して自分自身の未来、日本の未来に繋げるように考える事こそ、今回の尾畠さんが真に求める事なのではないでしょうか?