高齢者問題

介護現場でAI導入!|排泄予測デバイスDFreeが実際の介護現場で役に立たない理由

こんにちは、現役介護士のさかもと ままる@mamaru0911です。

僕は43歳「無資格・未経験」で異業種から、介護福祉・医療の業界に転職して来ました。

現在は介護業界で今最も勢いのある介護派遣会社であり、トップクラスの高単価案件を豊富に持つ、コンプライアンスもしっかりとした優良派遣会社きらケアで「夜勤専従介護士」として、またカイゴジョブで紹介してもらった「日勤パート介護士」としてWワークをしています。

現在は介護職だけで、月収40万円以上稼いでいます。

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ままる
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世の中ではしきりに「AI」導入のニュースが報道されています。

車の自動運転に始まり、コンビニでの無人レジなどはすでに実験店舗も多数オープンしている状況ですよね。

そんな中叫ばれているのが「介護職へのAI導入」です。

2025年に全国で38万人の介護士が不足する。

と言われるほど、介護業界の人手不足は深刻な物です。

これは介護業界に限ったことではありませんが、物流や飲食の業界でも人手不足は深刻化しており、その穴を「AI」で埋めるという試みは、多方面で行われています。

僕は現在、二箇所の介護施設でWワークをしています。

そんなリアルな介護現場で「AI」はどのように導入されているのでしょうか?

僕の前職はIT系ベンチャーの社長です。

少なからずデジタルへの知見は持っているつもりですので、今日は現在の介護現場のリアルから、将来介護業界への「AI」導入の可能性についてお話したいと思います。

Robot

そもそもAIって何だ?

世間では「AI」「AI」と言葉だけが先行しているイメージです。

そもそも「AI」って何の略だか分かりますか?

意外と答えられない人が多いと思います。

AI = Artificial Intelligence (日本語訳は人工知能)

AIのイメージを誤解している人が多いですが、AIは人間のように勝手に物事を分析して成長したりはしませんし、人間より頭が良くなって人間を支配するような戦争を起こす事もありません。

AIが人間のように「知的に学び成長する」のは、あるデータの蓄積があるからこそ可能なことです。

つまり人間では処理出来ない膨大なビックデータから、特定のトレンドなどを瞬時に読み取り、意思決定が出来るのが「AI」の強みなんです。

例えば飲食店の「仕入れ」システムにAIを導入した場合、客数やメニューの出筋以外にも、天候や湿度や温度、さらに最寄り駅の乗降客数などのデータを紐付けてこれたら、より正確な売上予測が可能で、食材の発注ロスが減る、とかですね。

このデータは溜まれば溜まるほど、売上予測の精度は上がって行きます。

店の店主が「経験とカン」で行っていた発注作業が、AIの導入によりロス削減できるという典型的な例です。

商店街の一店舗ではロス削減の効果は薄いですが、全国数千店舗のチェーン店などではその効果は絶大だと思います。

既存業界へのAI導入は、このように親和性の高い物とそうでない物があります。

なんでもかんでも「AI」が解決するかと言えばそうではないって話しですよね。

介護現場でのAI導入

では実際に介護現場では、どのような形でAIが導入されているのでしょうか?

AIの基本は「デジタルデータ」です。

デジタルデータが存在し無ければ、AIはその機能を果たす事が出来ません。

現在の介護現場では、まず「アナログ」から「デジタル」への仕組みの変更があちこちで行われている印象です。

特別擁護老人ホームや有料老人ホームのような介護施設では、必ず「介護記録」という利用者さんの情報を記録として残しています。

この介護記録ですが、最近まで多くの介護施設では「手書き」のアナログの物でした。

僕の働くひとつの有料老人ホームでは、昨年ようやく「手書き」からPCのシステムを導入した「デジタル」のモノに変わりました。

(ちなみに昨年働いていた特別擁護老人ホームでは、依然として手書きの記録を使っています)

病院などの医療現場では、かなり以前から全ての記録はデジタルデータに移行しており、今でも手書きで記録が書かれている病院は稀だと思います。

薬の管理などもシステムと紐づいたバーコード管理になっており、誤薬や服薬忘れを防ぐ仕組みが既に出来上がっています。

そういった意味で介護業界は、まずデジタル化が大幅に遅れているというのが僕の印象です。

介護施設によっては、デジタル化が進み、システムそのものにすでにAIが組み込まれている所もあるかも知れませんが、まだまだ少数派だと思います。

AI導入後の介護施設の姿

ある一部の病院では、すでにAI導入の臨床実験が行われています。

入院患者さんの心電図モニターの数値をAIが解析し、その患者さんの「クセ」を把握しようという試みです。

例えばAという患者さんは、脈拍数や血圧がこのくらいの数値になったら不穏に成りやすい、とかを事前にアラートとして出したりするそうです。

AIが膨大な患者さんのデータを解析し、Aさんの数値と比べることによってそういった試みが可能になるというわけですね。

ちなみにこのシステムが完成し、介護施設に導入されれば、アラートに介護職員が反応して事前に対応することによって、利用者さんの転倒を未然に防ぐことも可能になります。

しかし今現在では、そこまでのシステムは出来上がっていない状態です。

近い将来、介護施設でもそういった場面でAIが活躍する日がくると思います。

実際、そのようなデジタルやAIに関して導入して行く施設に、国はバックアップしていく方針を打ち出しています。

単純に人手不足をAIでカバーしようとしている施設には、補助金なり助成金なりを出そうということです。

しかし少なからず、システム導入には先行投資と労力が必要なわけで、それすら叶わないくらい人手不足の現場は、ますますトレンドから遅れて行く事になります。

ここ数年の間に、このような「施設間の差」がさらに大きくなるような気がします。

働く側としても、従来どおりのアナログ現場では今まで通りの消耗を余儀なくされます。

人手不足の現場はより人手不足に、という負のスパイラルは止まらないはずです。

デジタル導入の理想と現実

僕が務める有料老人ホームでは「DFree」という排泄予測デバイスを試験的に使っています。

介護士ベイベー DFree

https://jp.techcrunch.com/2017/11/06/dfree-fundrasing/

このDFreeというデバイスは、膀胱に溜まった尿がある一定以上の量になると、スマホアプリにアラートを飛ばし、それをキャッチした介護職員が利用者さんの排泄ケアを行うことで、利用者さんの失禁を未然に防ぐ為に開発された、まさに介護業界の未来が詰まった優れものです。

介護士ベイベー DFree

(これが僕が働く施設で実際に試用しているDFreeのデバイス本体です。)

使い方は上の写真のデバイスの小さい方がセンサーです。

そのセンサーを利用者さんのお腹の辺りに、専用のジェルを塗布し専用のテープで留めておきます。

大きい方のデバイスは、利用者さんのポケットなどに入れておきます。

スマートフォンで専用のアプリをダウンロードすると、通信がはじまります。

利用者さんの膀胱内の尿量が、アプリの画面にデータとして表示され、ある一定以上の尿量に達するとアラートが出ます。

利用者さんの居室に訪室し、排泄介助を行えばなんと「失禁ゼロ」!

なんて素晴らしいデジタルデバイスなんですかね。

おかげで介護職員の人手不足が解消されました!

……

とは全く上手くいかないんですよ笑

実際鳴り物入りで大きな報道された「DFree」ですが、実際の現場での口コミやレビューの記事はほとんどありません。

むしろこの記事がはじめてなのでは無いでしょうか?

DFreeが実際の介護現場で役に立たない理由は

  • そもそも装着が難しい

膀胱の位置をセンサーが感知するとランプの状態が変わる設計になっていますが、その位置を探すのがまず難しいです。

そもそもセンサーを付けられるのをじっと待っている利用者さんだけではないですからね。

  • アラート=排尿ではない

膀胱がいっぱい=排尿

では無いですよね?

排尿は尿意が伴ってはじめてそのタイミングで出ます。

もともと尿意が感じられない利用者さんにDFreeを装着しても、確かに膀胱は一杯なのかも知れませんが、トイレに付き添ってすぐに排尿、という訳には行きません。

実際空振りもかなり多いです。

  • ほとんどの利用者さん勝手にDFree外します

そもそもDFreeを装着しなければいけない利用者さんは、自ら尿意を訴えられない人です。

そういった利用者さんは、いったいなぜDFreeを付けられているのか?を理解していない場合がほとんどです。

自分のお腹に見慣れない異物が張り付いてれば、そりゃ取りたくもなりますよね。

というか現場ではほとんどDFreeは機能していないのが現実です。

まあその為の試験的利用だと思いますが、まず今の仕様では実際の介護現場では通用しないのがほんとのところです。

さらなる改善が期待されますし、こういったデバイスなりを開発する方々はもっと介護現場を慎重に見てから開発するべきだとも思います。

※AIの記事を書いていたつもりが、なぜかDFreeの話題になりましたけど、実際DFreeはAIがデータ解析してるかどうか不明です。公式HPによると「独自のアルゴリズム」だそうです。

DFreeのことを悪く書いているように見えますが、あくまでも介護施設のように多くの利用者さん全てに統一しては役に立たない、という意味です。もちろんそれぞれの方の状態にもよりますし、DFreeがきちんと機能して有意義な生活を送れる方もいると思います。

また使い方に関しても、メーカーオフィシャルの指導を受けた訳ではないので我々側の落ち度があるかも知れません。

まとめ

介護業界に関わらず「AI」導入は歓迎すべき事柄だと僕自身は思っています。

しかし「AI」が出来ること「システム」が出来ることには限界があります。

よく「AI」に仕事を奪われる、という話しを耳にしますが、ある限られた仕事は確かにそうかも知れません。

しかし大多数の業界で、AIを導入したからといって人の雇用が一瞬にして奪われるという現象は起こらないと僕は思っています。

なぜなら「AI」「システム」などのデジタル理論は、あくまでも「理想論」の積み上げにすぎないからです。

我々は「人間」です。

人間社会は「理想論」だけで成り立っている訳ではありません。

人間には、正論では片付けられない「矛盾」を含んだ様々な側面があります。

あくまで「理想論」であるデジタルが、そのまま「人間社会」に置き換えられないのは、人間がそれほど「複雑」な生き物であるからに他なりません。

DFreeの開発陣は、まさに「理想論」で現在のDFreeを開発しました。

「理想論」だけで言えば、DFreeは素晴らしいアイディアが詰まった未来のデバイスです。

しかし介護現場では、それが役に立たないという現実が、いかに人間という生き物が複雑なのかという証拠ではないでしょうか?

AIを含めた「デジタル」は、まだまだ進化の途中です。

その「進化」の方向は人間の「複雑性」にいかに対応出来るか、ということなんではないでしょうか?

僕のように派遣として介護職に携わっていると、様々な介護施設での経験が積めます。

同じ介護職でも、同じ現場に何十年といるとその環境が全てになってしまいがちです。

介護業界もこれから益々進化していきます。

その進化の過程には、当然介護現場の人間の知見が求められて当然だと思います。

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ままる
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