介護問題

【介護崩壊のリアル】コロナの影響下で実際に介護施設で働く介護士が見た現状

こんにちは、現役介護福祉士のさかもと ままる@mamaru0911です。

以前はIT関係の会社を自身で起業し経営していましたが、43歳の時「無資格・未経験」で介護業界に転職し、現在は介護業界で今最も勢いのある介護派遣会社であり、トップクラスの高単価案件を豊富に持つ、コンプライアンスもしっかりとした優良派遣会社きらケアで「夜勤専従介護士」として働いています。

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2020年1月に行われた「第32回介護福祉士国家試験」に無事合格し、現在は介護福祉士として有料老人ホームの派遣夜勤専従として働いています。

今日現在「新型コロナウィルス」の感染拡大は未だ先が見えない状態が続いています。

そんな「コロナ影響下」でも、介護施設で日々暮らす高齢者たちの日常は変わらず、当然我々施設介護士は、コロナ以前と変わらぬ通勤、仕事をしています。

コロナウィルスの影響によって、日本はもとより世界中が経済的にも未曾有の大ダメージを負っています。

その影響ですでに日本でも多くの失業者が出ているとの報道もあります。

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幸い我々介護職が、コロナの影響によって「失業する」と言う事態には今のところ至っていません。

しかし心配なのが、最近世間を賑わせているワード

「医療崩壊」

「介護崩壊」

です。

今日現在、有料老人ホームに勤務する僕の目で見た「今実感できるリアルな介護崩壊の実情」を今日はお話ししようと思います。

【介護崩壊のリアル】コロナの影響下で実際に介護施設で働く介護士が見た現状

世間では連日TVなどの報道で「新型コロナウィルス」への情報が盛んに取り上げられています。

その報道の中で、しきりに登場するのが「医療崩壊」と言うワードです。

コロナウィルスに感染しているか否かの「PCR検査」によって「陽性」と判別された患者は、普通であれば病院での「隔離入院」が原則です。

これは重度のインフルエンザやその他の感染症の場合と全く同じ処置ですが、今回の「新型コロナウィルス」に関しては、その感染患者数の異常増加の為、病院自体に「隔離入院」させるためのベッド数が足りないと言う現象が起こっています。

その為、各自治体では民間のホテルなどを借り上げ、コロナ陽性患者であっても「軽傷者」や「無症状者」の場合であれば、病院以外の「隔離施設」で2週間程度「隔離」処置をし、PCR検査を実施、時間を置いて二回以上の「陰性」反応が出るまではその「隔離施設」から出れないと言う処遇を進めています。

この処遇に関しては、まさに「医療崩壊」が現実に起きていると言うことの証明だと僕は思います。

現実的に提供できる「医療」の分母を「コロナウィルス感染者」と言う需要が遥かに上回ってしまった結果です。

これは現在日本における「医療崩壊」の一部でしかありません。

さらにこの先コロナウィルス感染者が増え続ければ、さらなる悲惨な環境に置かれる可能性も否定できないのです。

「日本の最先端医療」

は世界でも高水準で一定の評価を受け続けきた領域です。

しかし今回の「新型コロナウィルス」の感染拡大により、たった数ヶ月でいとも簡単に「崩壊」しつつあります。

僕自身は「介護福祉士」として、都内の有料老人ホームに「派遣介護士」として勤務しています。

そんな僕が今日現在、直接目にしているのが

「介護崩壊」

の一端なのです。

都内有料老人ホームでのコロナ対策の実情

以前の記事にも少し書きましたが、現在僕が務める有料老人ホームでの「コロナ対策」は大きく3つしかありません。

  1. 3月から利用者の家族を含めた部外者の面会禁止
  2. 介護職の就業前の検温の実施、マスク着用の義務化
  3. 手洗い、アルコール消毒の実施強化

たったのこれだけです。

とは言え、民間の施設である有料老人ホームでは、この程度の「コロナ対策」以上を求めるのは、逆に現実味が無いとも言えます。

おそらく日本中の介護施設でも、意識の差こそあれ具体的な「コロナ対策」は未だにそれほど進んでいないと思います。

「マスク」「衛生手袋」などの物品に関しては、施設側の管理は厳しくなった物の幸い圧倒的に不足している感じはしません。

通常業務に充分な数は今日現在でも供給され続けています。

介護施設に勤務して感じる「介護崩壊」の現状

僕は今日も有料老人ホームで勤務して来ましたが、目に見えて「介護崩壊」の一端を感じる場面が増えて来ました。

例えば利用者の中に「バルーンカテーテル」を挿入している90代の男性がいます。

以前から尿路感染を繰り返し、度々入退院を繰り返していましたが4月に入ってからは熱発しても往診医が介護施設に来るだけで「入院」は事実上拒否されるようになりました。

はっきりしたことは分かりませんが、恐らく「コロナウィルス」の影響による「病床不足」であると想像されます。

その往診の先生ですが、以前から何度も見かけているドクターでした。

しかし昨日の「臨時往診」の要請を施設が朝一番にしても、施設に到着したのは夜の9時近くでした。

そのドクターを利用者の居室まで僕自身が案内したのですが、助手の看護師と共に今まで見たこともない完全装備(感染防護ゴーグル、マスク、防護服)を着用していました。

直接ドクターに聞いた訳ではありませんが、恐らく僕の勤務する施設に来る途中も何件もの施設で往診を繰り返しているのでしょう。

ドクターの顔には明らかに疲労の色が色濃く見えました。

「医療崩壊」「介護崩壊」の連鎖

世間では「医療崩壊」と言う言葉が「新型コロナウィルス」のおかげでしっかり市民権を得たような気がします。

しかし「介護崩壊」と言う言葉も度々報道されますが、世間の反応は今ひとつインパクトに欠けるような気がしてなりません。

コロナ以前もそうでしたが「介護」が「医療」よりも後回しにされる要因の一つは、その「切迫性」です。

「老い」は今日、突然訪れるものではもちろんありません。

なので自分自身が「高齢者」「要介護者」と言う立場にならなければ、どこか「他人事」なのが「介護」と言うワードに対する大抵の人の反応です。

しかし人間は例外なく年を取り老いていきます。

自分自身や親、兄弟など身近に「高齢者」がいなかったとしても、いつかは自分自身に降りかかる問題である事を、我々一人一人が意識しなくてはいけないのは当然な事なのです。

実際に介護職として介護現場で働いてみると、介護と医療は実に密接に関わっている事を実感します。

例えば施設介護の場合、日常の利用者の生活を観察しているのは「医師」ではなく「介護職」です。

現場の介護職が「何かいつもと違うな」と言う違和感を感じ、医療に連携を取ることによって、実は多くの高齢者や要介護者の命が救われているのです。

医療が「点」で利用者を診るとすれば、介護職は「線」で利用者を診ます。

つまり「新型コロナウィルス」の影響によって、利用者が適切な医療が受けられない、と言う直接的な影響ももちろん、「子供の学校が休みになった」と言う理由で、介護職のパートが現場に出られなくなり、人手不足に陥り適切な利用者への「観察」が出来なくなって、利用者を医療に連携出来ない、と言うのも「介護崩壊」の一端だと僕は思います。

適切な「介護」があれば続いた命が、適切な「介護」が無いために無くなってしまう。

そんな状態ギリギリで日々踏ん張り続けているのが、今日現在の日本の介護現場の実状なのです。

まとめ

今日は日々、実際の介護現場で働く僕から見た「介護崩壊」の実状をリアルにお話ししました。

その1番の理由は

「介護の現場ももっと世の中に知ってもらいたい」

と言う思いからです。

確かに今日現在、日本の「医療」は究極のところまで追い詰められています。

だからこそ、その影響が「介護」にもまともに降りかかっています。

確かに「新型コロナウィルス」の感染によって、直接的に命を落とされいる方も残念に思いますし無念の思いでいっぱいです。

しかし「新型コロナウィルス」に直接感染していなくても、その余波の影響によって命を落とさざるを得ない方もまた多数いるのです。

最近では毎日報道で「コロナ感染者」「死亡者」が取り上げられます。

しかしその裏には、実はもっと多くの人が命を落としている可能性もあるのです。

そう言った意味でも「介護」「介護業界」にも、もっと世間の皆様の目を注いで頂き、「医療崩壊」と同等に「介護崩壊」を防がなくては、日本の未来はあり得ない、と言う認識を行政も含めて持って頂きたいのです。

一介護職の意見としては大げさだと言う方もいるかも知れませんが、現場を見ている我々だからこそ、このような現状をなるべく多く発信する必要があるのでは無いかと僕は思っています。

何れにしても1日でも早い「コロナウィルス」収束を、また全国民が適切な「医療」「介護」を受けられる環境が戻ることも願って止みません。